整えていく

あっという間に欅の若葉も緑を濃くしている。今年の春は季節が行くのが早く、少し寂しいくらい。

最近は近所の果樹園のキウイの棚を間近に観察して、日に日に変わりゆく様子を楽しみに眺めています。果樹園は本当に手入れが行き届いていて、すごいなあと感心するばかりで、冬に綺麗に選定された枝からどのように葉が繁り、やがて実を付けていくのか、勝手ながら楽しみにしています。

秋の頃にお話を頂いたのだったろうか、家具の納品にやっと先日お伺いできました。だいぶお待たせをしてしまい、ご迷惑もお掛けしてしまったけれど、無事納まって少し肩の荷が下りた気がしています。

今回は子供の頃からお世話になっている方で、実家を設計してくれた設計士の方のお宅に納める家具ということで、もともと具体的にお持ちだったイメージに添ってお作りするという形でした。

見た目はシンプルではあるけれど、形が特殊な分どう作ったら単純なものへ近づけるのかが難しいところでした。空間に納まったときに違和感なく、すっきりとした印象を感じられて、ああ良かったと安堵しました。

家具というのは作り方も、考え方も組み上げていくもので、いろんな考えや機能などを整理して、無理なく成立するように、そして違和感のないように、形を作っていきます。そこに木の力を活かしながらグッと来るところへ近づけるようにできたらと思っています。

木の塊から削り出していく器づくりを数年続けてきたこともあり、家具づくりがとても複雑なものだと改めて感じるようになりました。自分の心の向く先もなんとなくわかるようになってきています。

できることは限られているから、できれば一心に向き合いたいと思います。そうできる状況を作っていくことも仕事なのだと思っています。