それは突然に

9月になった。めずらしく県内や県外へと出張へ行ったりしているうちに8月も終わり、9月も数日過ぎていった。

日暮れはいつの間に早まり、仕事を終える頃には薄暗くなっている。雲の形、夕焼けの様子も変わりはじめた。暑さはまだまだ居座っている、夏の終わりはまだまだだろうか。

出張時に妻からの連絡で知り合いの庭に子猫が現れたとのこと。写真を見ると白黒と、黒の二匹の子猫が…、あんことひかりを思い出さざるをえなかった。

こういうこともあるものだと思ったのだった。

帰宅して迎えた週末の夕方、庭に猫たちを見に行き、連れ帰った。(母猫と他の兄弟(4兄弟)は警戒心が強く捕獲できないとのことで、まずこの二匹ならと言うことで連絡があったそうだ。)病院に連れて行った妻によれば、暑さや、栄養状態の悪さが影響して、猫風邪をひいていて、健康状況が思わしくないとのことだった。

まだ数日で安心はできないけど、様子を見ているとごはんもとてもよく食べるようになり、日に日に元気な様子が見て取れるようになっているのが嬉しい。

突然訪れた出会いは、言葉は悪いがちょっと暴力的なくらいで、否応なくやってきた。この柄の猫とはもう暮らせないとか、もう少し時間が欲しいとか、気持ちのハードルを越えて、なぎ倒すくらいなんだなと思った。いやもともと思ったより小さかったのかな。

その出会いから何を感じるのか、それは巡り合わせや、思い込みみたいなことも往々にあるんだろう。ともに暮らしたふたりを重ねるのもなんだか違うと思いつつ、二匹を見ながら思い出すのはやはりふたりのことなのだ。

いつの間に奥にしまった記憶や、臆病になっていた気持ち、そういう歯車がかけらに触れるたびに回るような、そんな気持ちでいる。