緑濃くなる櫛形山。いつも見上げて、ひと足遅くゆっくりいく季節に親しみを感じる。
散歩道はすっかり田植えの時期。水の入った田の水面、水底の様子、流れる音、目に耳に親しい景色だ。
去年は余裕もなく目の端に捉えた季節も、色濃く自分のなかに残っていることに気がつく。一年がたった。
明日で一年だよと帰ってきた妻に声をかけた。もちろん覚えてるよと。寂しいねと。
普段口にしない言葉に触れると、無意識に遠くに置いたかなしみがぐっと近づいてくるのが分かった。消えた訳ではなく、実は近くに今もあるのだなあ。
いつもは思い出話はみな笑い話で、こっちはなんとかやってるよ。
向こうへいってから、なんだかお願いすることばかりだけれど、これからも頼りにしているよ。これからもよろしく。
一年、ありがとう。